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アテネ国立考古学博物館

カテゴリ:美術館訪問時期:2019年6月6月の気候: 21.8〜31.6℃ / 降水 19.6mm(雨3.6日)関連スポット:アテネ国立考古学博物館
アテネ国立考古学博物館
アテネ国立考古学博物館

2019年6月上旬、イスラエルのテルアビブを後にしてアテネへ移動した。ギリシャ神話などが好きな私にとって、ギリシャは以前から特に行きたかった国の一つで、アテネで最初に向かったのがアテネ国立考古学博物館だった。正面は列柱の並ぶ大きな建物で、青空の下、屋上の彫像とギリシャ国旗が目に入った。

アテネ国立考古学博物館
アテネ国立考古学博物館

入館料は安かったが、展示内容は非常に充実していた。一通り見るだけでも2時間以上かかり、古代の出土品をじっくり見たい人には時間を取って訪れる必要がある。1889年に現在の場所に開館した、ギリシャ国内最大の考古学博物館で、ミケーネ文明からヘレニズム期まで、およそ4000年にわたる出土品を収蔵している。展示品のほとんどがローマ時代の模刻ではなく、古代ギリシャのオリジナル彫刻だという点も、ヨーロッパの大美術館の中では貴重な存在とされる理由だと知った。

館内では、騎乗する人物を象った小さな像をはじめ、人物像や細かなテラコッタ製品も見ることができた。展示室の照明を受けた小像は、台座の上で静かに置かれながらも、姿勢や衣服の形がよく分かる。細かな出土品は大型彫刻とは違う距離感で、当時の人々の造形感覚を想像しながら見られた。

騎乗する人物の小像
騎乗する人物の小像

円形の青銅鏡や壺類が並んだ展示ケースも印象に残っている。鏡の表面や持ち手には細かな装飾が施され、隣には大小の壺が整然と並んでいた。壁際には一段と大きな壺も展示されており、古代の生活道具として使われた壺が、想像していたより大きかったことを実感した。

青銅鏡と壺の展示
青銅鏡と壺の展示
壁際の大きな壺
壁際の大きな壺

人物を彫った石板のレリーフには、盾や武器を手にした人物が動きのある姿勢で表されていた。テラコッタの仮面は笑ったような表情が強く印象に残り、しゃがみ込むような姿勢のテラコッタ像も含め、それぞれ違った時代や用途を持つ出土品として興味深かった。展示室には馬に乗る人物の大きな青銅像もあり、馬が前脚を上げて進む瞬間と、背中の人物の動きが一体になっていた。

人物を刻んだ石板のレリーフ
人物を刻んだ石板のレリーフ
笑うテラコッタの仮面
笑うテラコッタの仮面
しゃがむ姿勢のテラコッタ像
しゃがむ姿勢のテラコッタ像
個人的に特に気に入ったのは、アルテミシオンの騎手の青銅像である。馬の筋肉、疾走している瞬間の姿勢、少年の緊張した表情がよく伝わってきて、これが紀元前、ヘレニズム期の紀元前140年頃の作品だということに驚いた。1928年、エヴィア島沖のアルテミシオン岬付近の海底から漁師によって発見された像である。ブロンズ像は後世に溶かされ、別の金属製品に作り替えられることが多いため、原型のまま現存する古代ギリシャの大型青銅像は非常に少ない。難破船によって海中に沈んだことで残った、貴重な例外にあたるという。疾走する馬に少年が騎乗する動的な構図を、これほど精巧な鋳造技術で表現している点も高く評価されている。
アルテミシオンの騎手
アルテミシオンの騎手

同じ海域から発見された、もう一体のブロンズ像、通称「アルテミシオンのブロンズ像」も見応えがあった。両腕を大きく左右に広げ、今にも何かを投げつけようとするような男性像で、右手に本来握られていたはずの武器は失われている。そのため、雷を投げるゼウスなのか、三叉の矛を投げるポセイドンなのか、現在も意見が分かれているという。紀元前460年頃、厳格様式(セヴィア様式)と呼ばれる時代の作とされ、静かな表情と躍動する姿勢の対比が印象に残った。

両腕を広げる青銅像(ゼウスまたはポセイドン)
両腕を広げる青銅像(ゼウスまたはポセイドン)

テラ島、現在のサントリーニ島にあるアクロティリ遺跡から発掘されたフレスコ画も見ることができた。片手だけにボクシング用のグローブをはめた2人の少年が向き合う場面で、紀元前1600年頃の火山噴火による火山灰に埋もれて保存されたものだという。壁画の一部は欠けているものの、赤や白、黒の色彩は数千年前のものとは思えないほどはっきり残っていた。

ボクシングをする少年たちの壁画
ボクシングをする少年たちの壁画

アテナ・ヴァルヴァキオンの像にも、精巧なつくりと歴史的な重要性に感慨深いものを感じた。これは、彫刻家フェイディアスがパルテノン神殿のために制作した、高さ約12mの黄金と象牙による巨大なアテナ・パルテノス像を伝える、ローマ時代、2世紀頃の大理石による縮小模刻である。原作は現存していないが、この像は1880年にアテネ市内のヴァルヴァキオン学院近くで発見されたため、その名で呼ばれている。兜をかぶり、右手に小さな勝利の女神ニケを持ち、左手を盾に添えて立つ姿で、盾のレリーフ、胸当てのメドゥーサの首、足元の蛇まで表されている。失われた原作の全体像を伝える、最も重要な資料とされている。

アテナ・ヴァルヴァキオンの大理石像
アテナ・ヴァルヴァキオンの大理石像

一方、アテネを歩いていて、最近訪れた国の中では持ち物の管理に注意が必要だと感じた。イヤホンをしていたり、鞄のチャックを開けたまま歩いていたりすると、盗まれる可能性が高いのではないかと思った。ただ、昼間に人通りの多い場所を歩いていれば、凶悪な事件などに巻き込まれる心配はほとんどないとも感じたので、基本的な点に気を付ければよいと思う。

帰りにはギリシャ名物のギロを食べた。豚肉がジューシーでポテトともよく合い、とてもおいしかった。ギリシャ料理は何を食べてもおいしそうだが、こうした手軽な料理はどうしても頻繁に食べてしまう。展示の量と内容の両方に満足できたので、次にアテネを訪れる機会があれば、また再訪したい。

ポテト添えギロ
ポテト添えギロ
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