2019年7月、海の綺麗な絶景を見て回ろうと思い、伊良部島・下地島で自転車を借りてサイクリングをした。両島は海だけでなく、橋や断崖、岩の景観、池やビーチまで見どころが続いていた。
最初に向かったのは伊良部大橋だった。渡る前から、岩礁の周囲に広がる海の青さが目に入った。伊良部大橋は宮古島と伊良部島を結ぶ全長3540mの橋で、開通は2015年。無料で渡れる橋としては国内最長とのことだ。実際に自転車で走ってみると道路は走りやすく、両脇には青く透明度の高い海、頭上には果てしない青空が広がっていた。海の上を進んでいる感覚が強く、天国のような風景だった。伊良部島に近づくにつれてビーチも見えてきて、遠浅の海と沖の深い青がつくる色のコントラストも印象に残った。自転車を置いて撮った橋のたもとの風景からも、この場所が海と道路の両方を楽しむ区間であることが分かる。
伊良部大橋入口の看板
伊良部大橋の道路
伊良部島に近づくにつれてビーチも見えてきて、遠浅の海と沖の深い青がつくる色のコントラストも印象に残った。
遠浅ビーチと深い青の海
伊良部島に入って反時計回りに進み、目に留まったのがヤマトブー大岩だった。海の中に大きな岩がいくつも立ち並び、その間に水面が見える。岩の表面には緑の植物がまとい、周囲の海は岩の影の近くで濃く、浅いところでは明るい水色に見えた。道路沿いの景色とは少し雰囲気が変わり、大きな岩に囲まれた場所に入り込んだようで、まるで秘境のようだった。自然にできた岩の形と、波の静かな入り江のような水面が組み合わさっているため、短い立ち寄りでも景観の変化を感じられる場所だった。
ヤマトブー大岩
さらに北上すると、サバウツガーの石碑が見えてきた。石碑は草木に囲まれた場所にあり、周囲には南国らしい細長い葉の植物が密集していた。展望台からは、海岸線に沿って続く断崖と、海中の岩まで見渡せる。岩肌の迫力、海の透明さ、斜面を覆う木々の美しさが一度に視界に入り、ここからの景色は格別だった。下の方へ降りてみると、海岸に立ち並ぶ岩は上から見た以上に大きく感じられた。海の青緑色と荒々しい岩肌の対比が強く、展望台から眺めるだけでなく、近くまで下りて景観を確かめたくなる場所だった。
サバウツガーの碑
サバウツガー展望台からの眺め
サバウツガーの岩場
北上を続けると伊良部島の先端が見えてくる。左手には木々に覆われた断崖絶壁、右手には青く美しい海が広がり、陸地と海のコントラストが面白かった。フナウサギバナタと呼ばれる断崖の景勝地で、近くには巨大なサシバの形をした展望台がある。サシバは秋に宮古列島へ飛来する渡り鳥で、地域のシンボル的な存在として展望施設のモチーフにも使われている。実物は翼を大きく広げ、岩の上から海の方を向いていた。海岸の断崖は緑に覆われながらも、ところどころ岩肌が露出していて、遠くまで続く海との境目がはっきりしている。展望台の雄大な姿と自然の断崖が並ぶことで、この場所ならではの景観になっていた。
緑の断崖と海
サシバ型展望台
そこから進むと、佐和田の浜の石碑が見えてきた。さまざまな形の岩や小島が点在するビーチで、白い砂浜と淡い水色の海の向こうに、岩がぽつぽつと浮かんでいる。海岸には草木が広がり、場所によっては水面が浅い入り江のように見えた。どこから眺めても風情があり、海だけが広がるビーチとは違って、岩や小島が景色に奥行きをつくっている。石碑の前には自転車を置けるほどの場所もあり、走ってきた道の途中で休みながら浜を眺めることができた。海の色は一様ではなく、岸に近いところから沖へ向かって少しずつ変わっていく。
佐和田の浜の石碑
岩礁のある白砂浜
岩島が浮かぶ浅瀬
浜辺に続く海
佐和田の浜から下地島へ入り、北上してたどり着いたのが17ENDだった。下地島空港の北端にある海岸で、地名は滑走路17、つまり方位角170度から着陸する滑走路の末端を意味するENDに由来する。沖へ長く伸びる赤い鉄骨の桟橋は、着陸機のための進入灯を設置する誘導灯橋だという。海の上に伸びる赤い構造物と、周囲の青い海の組み合わせは目を引いた。海は透明度が高く、浅い場所の海底まで一目で分かる美しさだった。見渡す限り海が続き、周囲に大きな施設などはないが、何もないからこそ景色に集中できる。私はここで長く過ごしたい気持ちになった。海と誘導灯橋の直線がつくる景観は、写真に収めたくなるのも理解できる。
遠くに見える誘導灯橋
17ENDの誘導灯橋
透明度の高い青緑色の海
17ENDから南下すると、通り池の石碑が見えてくる。そこから整備された木々の中を進むと、すり鉢状のくぼ地に海水が満たされた池が現れた。周囲は緑に覆われ、細い舗装路が植物の間をまっすぐに伸びている。池の縁は岩で囲まれていて、水面は深い色をしていた。海岸の開けた景色を見た後だったため、木々に囲まれた小道を抜けて突然池が現れる展開が印象的だった。岩の大きな窪みに海水がたまった自然の産物が、そのままの状態で残っているのは素晴らしい。整備された通路がある一方で、池そのものは人工的に作られた印象がなく、自然の形を間近に見られる場所だった。
通り池への石碑
木々に囲まれた小道
すり鉢状の通り池
通り池から少し南下したところには、帯石がある。目の前に赤い鳥居が立ち、その奥に大きな石が置かれていた。帯石は津波によって流されてきた大きな石で、パワースポットでもあるようだ。鳥居の朱色と、背後の岩や周囲の緑の組み合わせが特徴的で、海岸の自然景観とは別の静けさがあった。大きな石を祀るような形で残されているため、石そのものの存在感も強い。自転車で島を巡っている途中にこうした場所に立ち寄ると、海や断崖だけではない島の一面にも触れられる。
帯石の赤い鳥居
一通り下地島を見終え、伊良部島へ戻って渡口の浜にたどり着いた。広々とした白い砂浜が続き、海の透明度も高い。海岸には人が過ごしている様子もあり、岩の多い景勝地とは違って、ビーチとしてかなり使いやすそうに思えた。遠くまで明るい色の海が広がり、砂浜の上には海水浴を楽しむ人やテント、色とりどりのパラソルが見えた。伊良部島に滞在する期間が長ければ、私は毎日ここへ来ていたと思う。景色を眺めるだけでなく、海辺で過ごす場所としても印象に残る浜だった。
渡口の浜の石碑
人のいる白砂ビーチ
サイクリングを終えた後は、ちゃんぷるで宮古そばセットを食べた。そばには具が載り、ご飯や小鉢も添えられていて、走り終えた後の食事としてちょうどよかった。デザートには、なかゆくい商店で紅芋ぱんびんアイスを食べた。紅芋の色が残るものにアイスが載っており、こちらも絶品だった。景色を巡るだけでなく、最後に宮古そばと甘いものを味わえたことで、サイクリングの一日を締めくくる流れもよかった。
宮古そばセット
紅芋ぱんびんアイス
両島を一周してみると、海の透明度と自然の豊かさがありながら、サイクリングしやすい場所はなかなかないように思えた。周辺の地価が大幅に上がっていると聞いたが、実際に走ってみると納得できる部分もある。これからも手つかずの自然が残り、素晴らしい観光地としてそのままでいてほしいと感じた。