昨日の伊豆長岡、修善寺、沼津に続き、この日は三島市内を徒歩でゆっくり散歩した。訪れる前はそれほど印象の濃い街ではなかったが、実際には豊富な水源と寺社仏閣、食事まで見どころが続いた。
最初に向かった柿田川公園は、静岡県駿東郡清水町にある。園内は木々に囲まれた爽やかな雰囲気で、真夏の日でも散策しやすかった。入口には大きな石に「柿田川公園」と刻まれており、周囲もよく整えられている。柿田川は国指定天然記念物で、名水百選にも選ばれ、四万十川・長良川と並ぶ「日本三大清流」のひとつとされている。富士山に降った雨や雪解け水が地下水となって湧き出し、湧出量は1日約100万トンにもおよぶという。

園内で特に印象に残ったのがブルーホールだった。昔の紡績工場が利用していた取水口とのことだが、水は非常に透き通っていて、深い青色が神秘的に見えた。水面には周囲の木々や空の明るさが映り込み、真夏の散歩に涼しげな感覚を加えていた。

柿田川公園には貴船神社もあり、大きな木の下に鳥居と小さな社が静かにたたずんでいる。さらに八つ橋という木でできた歩きやすい遊歩道があり、緑の中を水の流れに沿って歩ける。もしこの周辺に住んでいたなら、毎日でも散歩に来たいと思える場所だった。

八つ橋は木製の手すりが続く遊歩道で、木々の間を縫うように伸びている。足元に注意しながら歩くというより、周囲の緑と水の気配を楽しみながら進める道だった。

次に三島駅近くの楽寿園へ向かった。明治23年(1890年)に小松宮彰仁親王の別邸として造営された公園で、約1万年前の富士山噴火で流れ出た三島溶岩流と、その上に育った自然林が見どころになっている。2018年には伊豆半島ジオパークのジオサイトにも認定されている。園内はよく整備されていて、駅のすぐそばにこのような大きな公園があることが素晴らしい。

大きな松の木「いこいの松」は、広がった枝ぶりが印象的だった。池の透明度も高く、水面に映る木々や小島のうきね島、周囲の風景との対比がおもしろい。国の天然記念物・名勝に指定されている小浜池は、庭園として整えられた景観の中に自然の水が残っているように感じられた。

池の水面には木々の影が映り、場所によっては水中の緑も見えるほどだった。自然林に囲まれた静かな水辺で、駅の近くにいることを忘れそうになる。園内には広瀬神社というとても小さな神社もあり、池や林を歩いた後に見つけると、庭園の一角にひっそり置かれた社のように見えた。

広瀬神社は小さな社殿で、池のそばの明るい場所に建っていた。規模は大きくないが、楽寿園の自然の中にあることで、園内の景観を構成する一つの要素になっていた。近くで働く人や生活する人にとって、毎日の憩いの場所になっているのだろうと思った。

ちょうど昼食時だったので、駅近くのうなぎの坂東に入った。駅に近いにもかかわらず価格はリーズナブルで、うな重はおいしかった。うなぎは上品であっさりした焼き加減で、暑い夏にも食べやすい。今回の旅の疲れも少し取れた気がした。

楽寿園の東側の対面には白滝公園があり、その横を桜川が流れている。川では水遊びをしている人を何人も見かけた。街中を流れる川とは思えないほど水が非常に透き通っていて、たしかに水遊びには適している。遊泳可能な場所でもあり、私も少し入って、ひんやりとした水の感触を楽しんだ。

その後は歩いてすぐの三嶋大社へ向かった。伊豆国一宮で、源頼朝が源氏再興を祈願した神社として知られている。立派な門構えをくぐると、境内の広さと建物の構成に格式を感じた。

境内には源頼朝と北条政子の腰掛石がある。治承4年(1180年)の百日詣での際に腰をかけたと伝わり、左が頼朝、右が政子の石とされている。大きさの異なる二つの石が並び、案内を読みながら、長く伝わってきた歴史を身近に感じた。

神門をくぐると、その先に舞殿が見え、さらに進むと拝殿が現れる。舞殿は広い境内の中央で存在感があり、拝殿は屋根の意匠や装飾も立派だった。大社という名の通り、門から拝殿まで段階的に見せる構造にも、格式の高さが表れていると感じた。

拝殿の前には参拝する人が続いていた。大きな社殿を正面から見ると、周囲の木々に囲まれた境内の中でもひときわ重厚で、古来から続く神社の文化を実感できる。

境内の神池には厳島神社もある。池に浮かぶような赤い橋と社殿が水面に映え、三嶋大社の中でも特に色彩が印象に残った。厳島神社は北条政子が勧請したと伝わり、家門繁栄・商売繁盛のご利益があるという。

三島市は、透明度の高い水と豊かな水源、古来から伝わる寺社仏閣、そしておいしいうなぎを徒歩で巡れる街で、今回は駅周辺だけでも見るところが多かった。機会があれば、次は自転車で周囲をいろいろ回ってみたい。