昨日訪れたアクロポリスに関する展示が充実していると聞き、新アクロポリス美術館から見学を始めた。その後、ゼウス神殿、アテネ国立庭園、ザッペイオンを歩き、アテネでの旅をほぼ終える一日になった。
最初に向かった新アクロポリス美術館は、ガラス張りの外観がかなり綺麗で、到着した時点で現代的な建物という印象を受けた。2009年開館で、スイス生まれの建築家ベルナール・チュミの設計によるものだという。建設予定地から考古学的遺跡が見つかったため、遺跡の上にガラス床の展示空間を設けている。入口前からもガラス越しに発掘現場を見下ろせる、大胆な構造になっていた。

館内には、茶色の保存状態が良い銅像や、白い石板に刻まれたレリーフなど、さまざまな展示が並んでいた。




中でもとりわけ目を引いたのは、Erechtheionを支えていた5つの石像だった。本来、エレクテイオンのカリアティードは6体だったが、19世紀に英国のエルギン卿によって1体が持ち去られ、現在は大英博物館にあるという。新アクロポリス美術館では残る5体を保管しており、吹き抜け部分に張り出した特設スペースで間近に見ることができた。5体が並ぶ姿は存在感があり、実物を見られたのはとてもよかった。失われた1体のための空いた席も意図的にそのまま残されているという。

美術館を後にして向かったのはゼウス神殿で、途中でArch of Hadrianをくぐり抜けた。これは131年頃に完成した高さ18m、幅13.5mの大理石の門で、ローマ皇帝ハドリアヌスの功績を称えるため、当時のアテナイ市民が私財を投じて建設したとされている。ペンテリコン山産の大理石が使われた門は、青空を背景に立つ姿が印象的だった。門の向こうにはアクロポリスの丘も見えていた。

その先のゼウス神殿、つまりオリュンピア・ゼウス神殿は、現在では中央に柱などが残る状態だった。それでも、広い敷地に立つ柱を眺めていると、かつては非常に大きな神殿だったことがうかがえる。建設は紀元前6世紀に始まったものの、たびたび中断され、完成したのは2世紀、ローマ皇帝ハドリアヌスの時代だった。着工から完成まで、およそ600年を要したことになる。コリント式の柱は最盛期には104本あったとされるが、現存するのは15〜16本のみで、柱の高さは17mに達するという。残った柱の大きさから、失われた建物の規模を想像する場所だった。

そのあとは北上し、アテネ国立庭園を散歩した。園内では美しい花々を見ることができ、木々がつくる木陰もあった。庭園はとても広く、暑い日でも歩き続けやすい印象で、日々の散歩にちょうどよさそうだった。初代ギリシャ王妃アマリアの発案でつくられた庭園で、1920年代に王立庭園から国立庭園へ改称されたという。園内にはアヒルが飼われている池もあるとのことで、歴史地区を巡る途中に雰囲気を変えて休める場所だと感じた。

庭園に隣接するザッペイオンは、黄色い外壁と正面の白い列柱が目立つ建物だった。デンマーク人建築家テオフィル・ハンセンの設計で、1888年に完工した新古典主義様式の建物だという。1896年の第1回近代オリンピックではフェンシング会場として使用された。正面には「ZAPPEION」の文字が掲げられ、左右の濃い緑の木々に挟まれた外観は、庭園の中でも目に留まった。

この日をもってアテネでの旅はほぼ終了したが、昔から見たかった歴史ある場所を存分に見学でき、とても有意義な時間になった。まだ見足りないところがあるので、アテネにはまた再訪したい。