2020年2月下旬、天気のいい日に、ふと思い立ってジョギングをしながら大井川を北上し、前から来たいと思っていた蓬莱橋を訪れた。橋を中心に、周辺の記念碑や展望台、勝海舟之像まで歩いて見て回った。
大井川改修110周年記念碑
最初に気になったのは、大井川改修110周年記念碑だった。円形の輪の中を、黒い柱が縦に伸びている。中心の柱は大井川そのものを表し、柱を取り巻く輪は、川の周辺で暮らす人々の街をイメージしたものだという。さらに、柱と輪をつなぐ9本のパイプは大井川周辺の3市6町を表し、パイプとパイプの間の空間は各市町村の面積比で表現されているとされる。大井川改修工事の開始から110周年を記念して、平成4年(1992年)に建立されたものだ。住宅や道路を背景に立つモニュメントを見ていると、ここで暮らす人々に欠かせない大きな川だからこそ、このような形で記念されているのだろうと思った。

蓬莱橋
蓬莱橋は、1879年(明治12年)に大井川に架けられた木造の歩行者・自転車専用橋で、全長897.4m、通行幅2.4mある。1997年には「世界一長い木造歩道橋」としてギネス世界記録に認定されている。もともとは対岸の牧之原台地で茶園を開墾するための農業用の橋で、法律上も農道に分類され、現在も島田市役所農林課が管理しているという。渡るには料金が必要な賃取橋で、橋のたもとには橋番もいる。2月の寒い時期だったが、橋には思っていたより人がいた。橋名の表示を過ぎて歩き始めると、木の板と手すりが続き、橋はしっかりしている。進むにつれて、山と橋と川が一直線に重なるような景色になり、晴れた空の下でそのコントラストがよく見えた。全長897.4mにちなみ「厄なし(8974)の橋」、「長生き(長い木)の橋」とも呼ばれる、縁起の良い橋として親しまれているのも納得できる。

橋の上からは、川原や木立、遠くの山を見渡せる。場所によっては橋の長さが強く感じられ、対岸へ向かって木道が細く伸びていく。渡り終えた先には七福神や亀、石灯籠などの石像が置かれていた。なかでも亀の石像は、丸みのある姿がかわいらしく、橋を渡った後に足を止めて見てしまった。周囲には木々と石積みがあり、水をたたえた場所に石灯籠が立つ景色もあった。橋そのものだけでなく、渡った先にこうした石像や景観があることで、歩く途中の区切りにもなっていた。



蓬莱橋フォトフレーム展望台
その近くにある蓬莱橋フォトフレーム展望台では、HOURAIBASHIと書かれた木製のフレーム越しに蓬莱橋を見ることができる。フレームの四角い空間に、川原と橋、遠くの山並みが収まる構図で、橋をそのまま眺めるのとは違った見え方になっていた。左横には「令和二年」と書かれた木の板もあった。毎年、数字だけが更新されていくのだろうかと思いながら眺めた。訪れた時期が令和二年だったこともあり、その時の記録として残っているのが印象に残った。


勝海舟之像
帰りに蓬莱橋を渡った先では、勝海舟之像にも立ち寄った。銅像は青空を背景に立っており、濃い色の像と明るい空の組み合わせがよく映えていた。像の周囲には道路や建物も見え、橋の自然豊かな景色とは違う、島田の街中らしい雰囲気がある。像を見た後、下側から蓬莱橋を眺めると、橋脚や長く続く橋の構造がよく分かった。地上から見上げることで、橋の上を歩いている時とは別の迫力があり、川原に落ちた橋の影も含めて良い景色だった。


そのあとは島田温泉蓬莱の湯に寄って疲れを取り、ジョギングを続けて家に帰った。結局の総距離は20kmちょっととなり、橋と周辺の史跡を見ながら良い運動にもなったので、歩くことや走ることを組み合わせて楽しみたい人に向いている場所だと思う。