2021年6月上旬、よい景色を見て温泉にも入りたいと思い、自転車で寸又峡まで走ることにした。普段は島田市から川沿いを上り、川根温泉でゆっくりしてから戻ることが多いが、今回はそこを大きく越えて寸又峡まで向かった。勾配はそれなりにあったものの、天気は悪くなく、途中の千頭駅まではスムースに到着した。
千頭駅では、きかんしゃトーマスの実物展示が行われていた。子供の頃に見ていたトーマスの姿を思い出し、懐かしい気分になった。大井川鐵道では2014年からきかんしゃトーマス号の運行を始めており、運行日には千頭駅構内で「トーマスフェア」が開催され、ヒロやジェームスといった実物大の蒸気機関車が展示されている。駅のホームの向こうに、赤や緑の車体が並んでいる様子は、山間の駅の風景の中でも目を引いていた。

千頭駅からさらに上っていくと、赤い鉄骨製の寸又峡橋が見えてきた。山の緑を背景にした赤い橋は道中の目印になり、橋を通り抜けると寸又峡温泉の看板が見えてきた。温泉街の入口には木造の案内塔や駐車場があり、周囲を山に囲まれた静かな場所に集落が続いている。ここで自転車を降り、徒歩で展望台の方へ向かうことにした。






橋を渡り終えると、遊歩道のような道として木こり橋が続いていた。木々の中を進む細い通路で、途中には坂道や階段もある。少し坂を上ると、寸又峡渓谷尾崎坂展望台にたどり着いた。そこには木材を切り出していた時に使われていたと思われるトロッコが展示されており、山の中でかつて林業に使われていた車両を間近に見ることができた。展望台には自動販売機もあり、ここで水分を補給した。




紅竹食堂は寸又峡温泉街の老舗食堂の一つで、地元で獲れる川魚や山菜を使った郷土料理を提供しているという。サイクリングで消費した体力を、こうした山の恵みで補えるのもこのコースの魅力だと感じた。器の中には大きな葉や揚げ物、山菜が盛られ、別添えの薬味もあり、見た目にも山間の食事らしさがあった。

食後は、近くにある日本カモシカ像と自転車を一緒に撮影した。像の後ろには「21世紀に残す日本の自然100選」と書かれた寸又峡の案内があり、温泉街の中でもこの渓谷の自然を意識できる場所だった。その後、寸又峡温泉露天風呂美女づくりの湯につかり、サイクリングと散策で疲れた体を休めた。温泉の近くには小川も流れており、湯から出た後はさっぱりした気持ちになった。

帰路は、行きに上ってきた道を単に下っていくだけなので、自転車にとっては快適だった。途中でブレーキの調子を確かめながら走り、今回も安全に帰宅した。上りの負担はあるが、景色、吊り橋、渓谷、食事、温泉を一度に楽しみたい人には、自転車で訪れる行程として印象に残る場所だと思う。
