ウィーンの街に残るハプスブルク家ゆかりのスポットを巡る旅に出た。歴史ある都市の空気を感じながら、主要な建造物を丁寧に見て回る充実した時間を過ごした。
シェーンブルン宮殿・グロリエッテ
まずは世界遺産でもあるシェーンブルン宮殿を訪れた。夏の間、ハプスブルク家の離宮として機能していた場所で、1441室を持つロココ様式の大宮殿は圧倒的な規模を誇る。午前中の混雑を避けるため、予約が必要な一番早い時間帯を選び、トラムに乗って向かった。落ち着いたイエローの外観は上品さが際立っていて、庭園側から眺めても非常に印象的だった。アパートメント内の見学では、特に応接間の天井画に目を奪われ、その豪華絢爛さに思わず長居をしてしまった。マリア・テレジアが増改築を主導し、幼少のモーツァルトが御前演奏を行った場所という歴史に思いを馳せるひとときだった。


宮殿の広大な庭園を奥へと歩みを進めると、小高い丘の上にグロリエッテが姿を現す。1775年に建立されたこの記念建造物は、マリア・テレジアが七年戦争での戦勝を記念して建てたものだ。ここから眼下に広がるシェーンブルン宮殿と庭園全体を見下ろすと、視界が開けて実に清々しい。宮殿と都市の広がりを一望できる絶好のビュースポットとして、足が自然と止まる場所だった。

カールス教会
続いてトラムを利用し、カールス教会へと移動した。18世紀初頭、ペストの終息を願ってカール6世の誓願により建立されたバロック様式の教会である。巨大なドームと、トラヤヌス帝の記念柱を模した2本の螺旋柱が非常に特徴的で、空を背景にひときわ存在感を放っていた。建物の前には広々とした池があり、周辺にはアイスクリーム屋が並ぶなど、地元の人々の憩いの場としての穏やかな雰囲気が漂っていた。

ベルヴェデーレ宮殿
最後は美術の殿堂であるベルヴェデーレ宮殿を訪れた。対トルコ戦争の英雄プリンツ・オイゲンの夏の離宮として建てられたこの地は、上宮と下宮に分かれている。まずは下宮の門をくぐり、庭園を進んでいく。道中では石造りの装飾や優雅な石畳の広場を目にすることができた。庭園内の噴水を越えると、美しい上宮の建物が姿を見せる。


上宮内では、クリムトの「接吻」やナポレオンを題材にした「アルプス越え」といった著名な絵画を間近で堪能した。また、宮殿の上層階から庭園を見下ろす景色は格別で、整備された緑と下宮、そしてその先に広がる市街地とシュテファン大聖堂までが一望できる。対トルコ戦争の英雄の邸宅というかつての栄華と、世界的な芸術が一堂に会するこの場所は、何度でも訪れたくなる街のハイライトといえる。ウィーンの歴史と芸術、そして公園のような庭園の美しさをゆったりと歩いて体感したい人には最適なルートだ。
