ウドンターニーのバスターミナルからバスに乗り、ノーンカーイ国境管理事務所へ向かった。タイ側のパスポート審査はスムーズで、バスはタイ・ラオス友好橋を渡ってターナレーン国境検問所へ。こちらの審査もあっさり終わり、そのままヴィエンチャン市内に入った。宿に荷物を置いた後、野菜不足を補おうと近くの店で野菜たっぷりのかた焼きそばを食べたところ、これがおいしく、滞在中に何度か通うことになった。

ラオスに着いてから数日は、まずこの国の雰囲気に慣れるため、カフェでコーヒーとブラウニーを食べたり、市内を歩いたりしてゆっくり過ごした。基本的にはタイとほとんど変わらない印象で、治安も非常によく、滞在中は安心感があった。ヴィエンチャンはメコン川沿いにあるラオスの首都で、高層ビルがほとんどない落ち着いた街並みから、「世界一何もない首都」と評されることもある。16世紀半ば、ランサーン王国の都がルアンパバーンから移されて以来、長く政治の中心であり続けてきた街だという。

タート・ルアン
黄金の仏舎利塔、タート・ルアンへは、市内から約4.5kmの道のりを運動も兼ねて歩いて向かった。入り口には白、赤、金で彩られた装飾門があり、中央のアーチの両脇には手を合わせる人型の彫刻が立っている。門の向こうにも屋根の尖った建物や木々が続き、入る前から寺院らしい華やかさが感じられた。

敷地内はきれいに整備され、庭の中には座っている大仏もあった。全体に急かされるような雰囲気はなく、木陰や広い空間を含めてリラックスして過ごせる場所だった。タート・ルアンは、オリジナルが紀元前に建てられたと伝わる仏塔で、現在の姿は16世紀半ば、ヴィエンチャンへの遷都に際してセーターティラート王が建立したものとされる。高さ約45m、外壁の一辺約85mでラオス最大規模の仏塔であり、1991年以降はラオスの国章にも描かれている。

黄金の仏舎利塔は日の光を受けて輝き、青空を背景にするといっそう存在感があった。屋根の向こうから見える塔の上部も金色にまとまり、周囲の落ち着いた白壁や赤い瓦との対比が印象に残った。

仏舎利塔の北側にあるHo Thammasaphaは、左右の整った造りが目を引く、均整の取れたきれいな建物だった。敷地内でもひときわ目立っており、正面へ続く広い通路と手入れされた植え込みも含めて、まとまりのある外観だった。

そのすぐ東隣にはタートルアン北寺院がある。金と白を基調にした豪華な建物で、正面には2体の仏像が左右に立ち、屋根の下や壁面には金色の美しい彫刻が施されていた。タート・ルアンの周囲には、もともと東西南北に四つの寺院が配されていたとされ、現在も北寺院、ワット・タート・ルアン・ヌアが残っている。ラオス仏教界最高位の総主教が暮らす寺院ともされている。

タート・ルアンの近くには寝大仏もあり、そこまで広大な敷地ではないものの、仏塔や寺院、仏像が近い範囲に集まっていた。歩いて回る距離として無理がなく、ひとつの場所で見られるものが多いので、敷地を出る頃には十分に見たという充実感があった。

パトゥーサイ
街の方へ引き返す途中、パトゥーサイ公園にも立ち寄った。公園には2頭の象が楽しげに立っているモニュメントがあり、寺院とは違う親しみやすさがあった。パトゥーサイは正式にはアヌサーワリー・パトゥーサイといい、ラオス語で「勝利の門」を意味する。1957年から1968年にかけて、内戦の戦没者を追悼する記念碑として建設されたものだという。

噴水越しに見るパトゥーサイは、青空を背に堂々と立っていた。外観はパリの凱旋門を模しているが、天井や壁面にはナーガや3つの頭を持つ象など、ラオス独自のモチーフがレリーフとして施されている。

パトゥーサイの頂上まで上がると、公園を一望できた。中央の噴水から伸びる道、左右に整えられた芝生や植え込み、周囲の道路まで見渡せ、眺望はとても良かった。高層ビルの少ない街なので、遠くまで視界が開けている。頂上からは白く堂々とした首相官邸も遠くに見え、周囲の建物の中で目立っていた。


ワット・シーサケットとラオス国家主席府
その後は、さまざまな仏像が並ぶワット・シーサケットへ向かった。境内には小さな祠や仏塔もあり、全体に落ち着いた雰囲気がある。ワット・シーサケットは1818年にアヌ王、チャオ・アヌウォンによって建立された、ヴィエンチャンに現存する最古の寺院とされる。1828年のシャム、現在のタイによる侵攻の被害を免れ、当時の姿をほぼそのまま伝えている。本堂と回廊の壁には、大小合わせて6,000体を超える仏像が安置されているという。

金と黄色に彩られた本堂は、正面の細かな装飾と両脇に立つ仏像が見応えのある建物だった。華やかさはありながらも、境内全体には静けさがあり、パトゥーサイの開けた公園とはまた違う時間が流れていた。

続いて、白く荘厳なラオス国家主席府も見に行った。国旗が掲げられた門の前は静かで、一般公開はされていない。ヴィエンチャンで「首相官邸」と呼ばれる白い建物は、正式には大統領宮殿、ラオス人民民主共和国主席の官邸にあたる。1973年に建設が始まったが、1975年の政変による混乱で長らく未完成のままだったといわれる。ラオスは国家主席を元首とする社会主義共和国で、行政の長は首相が務める。

昼食とタートダム
見学の後は近くの店で海鮮チャーハンを昼食にした。派手さのない店で、野菜を添えたチャーハンとスープを食べる簡素な昼食だったが、街歩きの途中にはちょうどよかった。そのまま近くのタートダムへ向かい、いったん宿に戻って休憩してから、最後にcomma caffeでアイスコーヒーを飲んだ。

タートダムは黒ずんだ古い仏塔で、周囲の華やかな仏塔とは違う渋い佇まいだった。塔の表面には草が所々に生えており、時間の経過をそのまま残しているように見える。タートダムは「黒い仏塔」を意味し、塔の下の祠にはラオスの守り神である龍、ナーガが住み、国が危機に陥った際には助けに現れると地元で信じられている。

comma caffeのアイスコーヒーは、この日の観光を締めくくる一杯としてちょうど良かった。ヴィエンチャンは町並みが整い、高層ビルこそほとんどないものの、タイの主要都市と同じような感覚で生活できる安心感がある。人は親切で料理もおいしく、これからさらに発展していくだろうと感じた。ゆっくり街歩きをしたい人に向いており、私もまた訪れたいと思える街だった。
