2019年1月、プーケットのRassada Pier Terminalからフェリーに乗り、ピピ島へ向かった。ピピ島(コ・ピピ)はアンダマン海に浮かぶ6つの島からなる諸島で、プーケットからラサダ桟橋発のフェリーで約2時間。船上からは、美しい青い海と大きな岩が続く景色を眺めながら過ごした。
トンサイ港到着
出港したラサダ桟橋を振り返ると、赤い屋根の建物が並ぶ港の様子がよく見えた。フェリーの甲板から眺める景色は、これから島へ向かうという気分を高めてくれた。

船から見えた大きな岩は、海の上に独立して浮かぶような姿をしていた。深い青色の海と、植物に覆われた灰色の岩肌の対比が印象に残っている。ピピ諸島はレオナルド・ディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ』の撮影地として知られており、こうした景観が作品の舞台になったことにも納得できた。

トンサイ港の周辺にはボートが多く停泊していて、岸沿いには店も沢山あった。近くのトンサイビーチは小さめのビーチだが、フェリー乗り場の周辺で食事や買い物ができるため、気軽に利用できそうだった。島の中心となるピピ・ドン島には自動車がなく、島内の移動は徒歩か自転車。ゲートをくぐって街へ入ると、ここに来たという実感がさらにわいてきた。





この日はホテルでゆっくりした後、夜中に散歩へ出た。ピピ島は猫が多いと聞いていたが、実際に歩いてみると確かに多かった。島自体がとても小さく、道幅もせまい。ただ、そのぶんスピードを出せる場所ではないので、歩きにくいというほどではなかった。建物の影など、暑さを遮るものが少ない昼間と比べると、夜の方が歩きやすかったように思う。
夜のピピ島散歩
夜中になると周囲がライトアップされ、港のボートまで光が届いていた。街中では赤い中華風の提灯とブルーのライトによるイルミネーションがきれいで、静かな島の中に落ち着いたムードが漂っていた。昼の海や岩山とは違う、夜のピピ島の表情を見ることができた。


モンキーベイ
翌日はビーチ巡りのため、ボート乗り場付近へ向かった。そこには複数のカジキが集まったような像が立っていた。おそらくピピ島の周囲はカジキがよく釣れるのだろうと思いながら眺めたが、海を背景にした大きな像は、港の目印のようにも見えた。

最初にボートで向かったのはモンキーベイ。名前の通り沢山の猿が生息しており、人に上っていく姿も見られた。かなり人懐っこい様子で、餌付けの場面を間近で見られる人気スポットになっているというのもわかる。ただ、場所によっては攻撃的な猿もいる。ここの猿はそういう雰囲気ではなかったように思うが、野生の猿であることに変わりはないので、私は少し距離をとって接するように努めた。


ピレィラグーン
次に向かったのがピレィラグーン。小さいボートはかなり揺れたが、そのぶんスリルがあって面白かった。波をたてながら岩の間を潜り抜けていくと、切り立った石灰岩の断崖に囲まれたラグーンにたどり着く。周囲の岩壁が近くに迫り、海の上を進んでいるだけでも景色に圧倒された。

改めて乗ってきた船を見てみると、かなり細い船体で、よくこれで重心を保っていられるものだと思った。細長いロングテールボートの舳先や、色鮮やかな布が岩壁と透明な海を背景に浮かび上がっていた。小さな船ならではの揺れも含めて、ピレィラグーンへ向かう道中そのものが印象的だった。

ラグーン内は水深があまり深くなく、気軽にシュノーケリングなどを楽しむには適していた。ピレィラグーンはピピ・レ島にある入江で、エメラルドグリーンの海と切り立った石灰岩の断崖が特徴。ロングテールボートの舳先に座って撮る写真が定番になっている、ピピ諸島でも指折りの絶景スポットとされている。

海が太陽に照らされると透明度がさらによくわかり、海底まで見通せるような水の色になった。いつまでもここにいたい気分になったが、この訪問時はオーバーツーリズムによるサンゴ礁の破壊や生態系の悪化を防ぐため、タイ政府の決定でマヤビーチが閉鎖されていた。映画『ザ・ビーチ』の舞台として知られる場所に行けなかったのは残念だったが、ピレィラグーンに来ただけでも十分楽しめた。なお、マヤベイは2018年6月に無期限閉鎖が決まり、2022年1月に人数制限や上陸ルートの整備を経て再開されている。

帰りのボートでは、岩肌に映る夕日の温かい日差しを眺めながら帰路についた。海面に光が伸び、昼間とは違う柔らかな色で岩山が見えた。ピピ島はプーケットからそれなりに離れているが、自然の雄大さや海の青さ、透明さは素晴らしく、来る価値のある場所だった。

今回は短い滞在だったため、次に来るなら再開したマヤビーチにも訪れ、1週間ほどかけてゆっくり島を巡ってみたい。海や岩山、シュノーケリング、猿との距離感を含め、自然景観を中心に楽しみたい人に向いている場所だと思う。